第31話「見直しが始まったFITの行方」

2019年08月28日

見直しが始まったFITの行方

 

経産省が今年4月からFIT法の抜本見直しに着手した。今年度に方向性を定め、来年度に法改正、その翌年(2021年)に施行する予定だ。このほど、その中間案が取りまとめられた[1]。まず、「主力電源化に向けた2つの電源モデル」として、「競争電源」と「地域電源」の分類が示された。「競争電源」とは、「競争力ある電源への成長が見込まれる電源」を指し、具体的には、事業用太陽光発電と風力発電である。

「競争電源」については、「再エネ発電事業者自らが電力市場を通じて電気を販売し、国民負担を抑制する仕組み」として、現状のFITから「プレミアム支援制度」(FIP)などへ見直される方向が示された。諸外国も同じ方向性であり、日本でも太陽光発電のコストが急降下してきた現状では、当然の方向性といえるだろう。

とはいえ、FIPという制度がどのようになるのか、まったく不明なまま言葉だけが一人歩きしている感がある。本来、FIPは少なくともメリットオーダー(限界費用が安い電源が優先的に採用される仕組み)が反映されるオープンな電力市場の存在が前提となっているのだが、「タマ出し」が恣意的で限られた日本の現状の卸電力市場のもとで可能なのか、疑問が残る。電力市場のさらなる整備が待たれる。

また、論点の中で「地域で活用される電源としてのモデル」(地域電源)が明示されたことには期待したい。地域が自ら行う自然エネルギーこそが、地域の経済的な恩恵をもたらすからだ。具体的には、需要地に近接して柔軟に設置できる電源(例:住宅用太陽光発電、小規模事業用太陽光発電)や地域に賦存するエネルギー資源を活用できる電源(例:小規模地熱発電、小水力発電、バイオマス発電)と説明されているが、具体的な制度設計は、これからとなる。

他方、普及の障害でありながら、論点として真正面から取り上げられていないポイントもある。最大の障害は送電線の問題だ。確かに、系統制約の解消のために系統整備が提案されている。しかし現実には、空き容量がほとんどない、電力会社に支払う接続負担金が法外など、自然エネルギー普及の前に、送電線問題は今なお大きく立ちはだかっている。もう一つの大きな障害は、原発が優先される一方で、九州電力のように自然エネルギーが抑制される問題だ。

注目すべき論点は数多いが、もっとも重要なポイントは「再生可能エネルギーの主力電源化」を掲げながら、実質的に普及を阻害するような制度見直しを避けることだ。今後は、具体的な制度設計の議論に移行する。そうした点を注視したい。

[1] 第17回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/017_01_00.pdf