第10話「1%」は自然エネルギー100%の中間点

2017年08月17日

2015年に太陽光発電は世界の電力供給の1%を供給した(BP統計による筆者推計) ※
これを見ると、太陽光発電で世界の電力供給のすべて=100%を賄うには、まだはるかに遠い道のりに見えるかもしれません。
確かに、物事が直線的(リニア)に進む場合、1%は100%の100分の1に過ぎませんが、じつは太陽光発電の場合、1%は100%への「中間点」なのだ、という指摘があります。

実際に、太陽光発電の普及が本格的に始まったのは、1994年の日本からと言ってもよいでしょう。前年に始まった電力会社の余剰電力購入メニューに加えて、国が住宅用太陽発電に対して半額もの補助を与えたのです。

その後、2002年に太陽光発電は世界の電力供給の0.01%を発電しました。
この時点では、主に、日本とFIT導入後のドイツ、そして米国の3カ国がほとんどでした。
その6年余り後の2008年半ばには、太陽光発電は世界の電力の0.1%を越え、
さらにその6年余り後の2015に1%を超えたというわけです。

つまり、絶対量としての変化は小さいとはいえ、ほぼ6年半毎に10倍に増えてきたことが分かります。このペースでゆけば、太陽光発電は2020年代の初めに世界の電力供給の10%を伺う勢いということになります。

では、風力発電はどうでしょうか。

世界で風力発電の普及が始まったのは、事実上、1980年のデンマークと米国カリフォルニア州です。その後、1988年にはこの両国の風力発電だけで、世界の電力供給の0.01%を発電しました。10年後の1998年には風力発電は世界の電力の0.1%を越え、その10年後の2008年には1%に到達しました。このペースでゆけば、来年の2018年には風力発電が世界の10%を賄う可能性があることになり、実際に確認できる最新の2015年の統計によれば、風力発電は世界の電力供給の5%を供給しています。

つまり、今起きている太陽光発電と風力発電がリードする世界のエネルギー変革は、従来のメカニズムやスピードとは全く異なるのです。直線的な変化ではなく、「倍々ゲーム」(指数関数的)なスピードの変化によるものなのです。1%までの「中間点」までは従来の「主流派」に無視されていますが、1%の「中間点」を越えると、一気に量的な規模が大きくなるため、従来の秩序や構造を根底から塗り替える「破局的変化」(ディスラプティブ・チェンジ)を引き起こすようになります。これこそ、「ソーラー・シンギュラリティ」とか「エネルギー・シンギュラリティ」と呼びます。

太陽光発電と風力発電が引き起こすこれからのエネルギー変革=「ソーラー・シンギュラリティ」から、ますます目が離せません。

 http://www.bp.com/ja_jp/japan/report/bp-statistics.html

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